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転写の技法は千年ほど前に中国から伝わったといわれます。その方法は図案を木炭でなぞり、上からこすって転写したりガラスにのせ、光を透過させて写し取ったり、さまざまな苦労があったようです。それは“企業秘密”で、こっそり隠れて転写していました。拡大は倍率する寸法を測り、原図を見ながら手描きで行っていました。現在では、どちらも簡単にできますね。


色鮮やかな壁画で知られる高松塚古墳。そこに描かれた18人の人物画のうち、12人までが1枚の原画をもとに転写されていることがわかりました。


法隆寺の中央左右壁面の龍と虎図。これらの胴体は同じ原図から描き起されています。こんど観賞する機会があれば、ぜひ見比べてみて。


江戸時代に花開いた浮世絵。もともと何枚もの版に転写して多色刷りしていたため、写すことは浮世絵の基本。国吉の作品は、同じ原画をもとに次々と新しい構図が制作され、新しい作品として完成されています。


かつて、日本画家は先達の作品を模写して技法を身につけました。いまも芸術大学には「模写科」があります。このように、模写は美術の世界でも大切な要素なのです。


「写す」ことが大切な勉強だったため、絵師たちは自分だけの念紙(転写紙)をつくっていました。その制作方法や使用方法は門外不出で、だれにもそのノウハウを教えなかったそうです。いまではプロもアマチュアも、スーパーチャコペーパーでカンタンに模写することができ、しかも瞬時に水で消えるので、描き直しもできて安心です。

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